Nao goldworkの粒金技法
| ご挨拶 | 粒金技法の解説 |
粒金技法(Gold granulation)は、制作の手順が公開され、
制作される工房や研修コースも増えました。
(ポイント1)なぜ、「粒金技法」を使って、金の粒を付けるのか。
→「粒金技法」を使うと、簡単に 24金の粒が土台の金の板に接着できる。
(ポイント2)なぜ、24金の「粒金」で金製品を制作するのか。
→作業後に24金の粉や破片を集め、強力な磁石で鉄の粉を抜きます。
これを溶解すると24金に戻りますので次の制作で簡単に使えます。
18金では、溶解すると含まれる銀や銅が酸化し真っ黒になります。
(ポイント3)なぜ、「粒金」を付けるのに「ロウ材」を使わないのか。
→ 金製品の溶接には、金ロウ 18K(融点810度)が使用されます。
金ロウ(融点810度)18kの価格は、2g 60,000円を超えました。
金が75%で、残り25%に銀や銅などを混ぜて作られています。
「ロウ材」で粒金を溶接すると、流れたロウが酸化しますが、
「粒金」の下に残る黒く酸化したロウ材を除去できません。
このため、「粒金技法」では「ロウ材」を絶対使用しません。
(ポイント4)熱だけでも、押せば粒金の接合はできませんか。
→ 「粒金技法」について「熱だけで粒と土台を一体化させる」
との解説がありますが、これは、明らかに誤った説明です。
土台に置いた粒金を加熱し、溶ける前に工具で粒金の上から
押せば、柔らかい黄金の粒金は簡単につぶれてしまいます。
土台に置いた「粒金」を加熱するだけで、上から押さなくても
付くこともあります。しかし、粒金は極めて小さい「点」で
土台に付いているだけなので、衝撃で簡単に取れます。
これでは、生活の中で使用すれば、容易に「粒金」は落失します。
指輪のような製品にしたとき、ジュエリーに耐久性がありません。
このような融点以下の高温下で同じ金属同士を密着させ、圧力を
かけ、一体化させる接合を「拡散接合」と呼称します。これは、
金属の接合面に生じる「原子の熱拡散現象」による一体化です。
「粒金技法」は、どのような技法ですか。
「粒金技法」がどのような接合か、「粒金」の接合に使う材料で解説します。
→ 「粒金技法」では、「粒金」を溶かさず、形を保ちながら、土台に接合します。
「粒金」は溶かしません。「粒金」が土台と接触している部分で接合させます。
→ 「粒金技法」は、粒の上に圧力をかけ、押して接合する方法ではありません。
熱だけで、粒金と土台の金を自然に付着させる方法でもありません。
「粒金技法」では、酸化銅粉と炭素を含む糊のペーストを用い、
還元炎の中で加熱しながら接合に必要な反応を起こします。
(ポイント)「粒金技法」は、粒金の接合に何を使うのか。
→ 酸化銅粉と炭素を含む糊を練ったペーストが必要です。
これを「粒金」が土台の金と接触する部分の間に付けます。
「粒金」と土台の金を還元炎の中で加熱します。
すると、889℃の炎の中で、酸化銅粉が還元されます。
還元され銅に戻ると、接合界面に金・銅共晶合金の液相が発生します。
これがロウ材のように作用して「粒金」を土台の金に溶着します。
1995年には、オンライン コミュニティ「Ganoksin」が誕生しました。
このサイトで、アーハルト・ブレポール教授による「粒金技法」の解説
「Goldsmithing Granulation Technique」を読むことができました。
Prof. Dr. Erhard Brepohl
https://www.ganoksin.com/article/goldsmithing-granulation-technique/
当時、私はインドネシアのバリ島に行く機会が何回かありましたが、
粒金の工房では、教授の解説のとおり、銅化合物で接合が行われていました。
これを粒金の接合工程にまとめました。参考になればありがたく思います。
(工程 1)溶解した金を落下急冷し、飛び散った金粒を大きさで選別し粒金を用意する。
(工程 2)純銅の板を加熱し、焼成酸化させ、酸化した表面から酸化銅の粉末を作成。
(工程 3)乾燥した豆をすりつぶし、焼成時に炭素を放出させるための原料粉末を作成。
(工程 4)酸化銅粉と炭素原料粉末を練り、粘り気があり塗布に適したペーストを作成。
(工程 5)粒金を接合させる金製品に粒金を接合させる箇所の印を油性ぺん等で付ける。
(工程 6)直径0.5mm程のペーストを接着箇所に付け、上に粒金を押しつけ、乾燥を待つ。
(工程 7)乾燥により粒金が固定できたら、炭やバーナーなどの還元雰囲気で加熱する。
(工程 8)酸化銅は還元され、液相の金属銅へ変化し、粒金と金製品を接点で接合する。

現在、世界では、「粒金技法」の訓練コースがいくつも開講されています。
画像検索(gold granulation)や Youtubeで粒金の作品を見てみましょう。
また、過去の作品は、ebay や etsyに多数出品されており、購入もできます。
イリアス・ララウニスは、現在も粒金を付した作品を受注生産しています。
Akeloとして知られる Andrea Cagnetti の功績は大きく、その作品は
博物館に収蔵されていますが、インターネットで見ることができます。
ザフィロ(Zaffiro)のように優れた作品を発表する会社があります。
https://lalaounis.com/product/
https://www.akelo.it/en/jewelry/
https://zaffirojewelry.com
参考文献「古代のマイクロ接合・粒金」
大橋 修,成井美穂,相原健作,保坂雅喜,稲垣 肇,津屋 修,原田一敏:
日本金属学会春期講演大会概要集,(2015)
https://www.jim.or.jp/journal/m/pdf3/55/10/468.pdf
(以下、文献から抜粋)おわりに
紀元前の粒金作品や,その技法を調査すると,直径0.5mm程度の金粒の径と
その位置を制御して,立体的に接合しており,その接合技術の高さを知る
ことができた. その接合法は,ほう砂,塩類などの「フラックス」,
粒を固定する「糊」と「銅化合物」の混合ペーストを貴金属の粒(金合金,
銀合金)に塗布して,木炭中で加熱する.還元雰囲気中での加熱であるこ
とから,銅化合物が還元され,貴金属と共晶反応でろう接される.
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